臨床推論に情報検索プログラミングを役立たせることができるか。

Pythonではじめる 情報検索プログラミング

作者:佐藤進也

を購入した。

 

臨床推論のための情報検索に役立つのではないだろうかという直観で衝動買い。

 

どんなに経験を積んだ医師でも、有るとき、謎の症状に出会い、はたと診断できずに悩むことはあるであろう。私は、日頃悩んだ症状に出会うと、診断へ向かう暗中の灯火としてWeb検索エンジンを利用することが日常となってきた。その代表格であるGoogle検索のお世話にならない世の診断医は少ないのではないだろうか。

 

それでも、病は、浜に無数に横たわる砂粒のように呆れるほど膨大にあるし、しかもその輝きとしての症候(症状や検査結果)と言ったら砂粒の均一さとは異なり、人という複雑さが作用してもたらす量的にも質的にも多様な現れとなって、どうも判別がつきづらい。この症候診断の世界全体を、あの死者を生き返らせるほどの、ギリシア神話の医の守護神アスクレーピオスが司っていると想像してみる。砂浜の向こうに横たわる大海原の未知の情報のありかを我々凡人にはそうやすやすとは明かしてくれない厳しい徒弟社会に思えてきた。

 

Googleのような検索エンジンの王様でさえも、医の真実に近づく道具として我々凡人を満足させるものとは思えないのが現状である。次なる手がないか考えるのが常となっていた。

そこで、偶然この本に出会った。

 

情報検索の有力な手段としてはWeb検索エンジンがありますが、これを利用することは、旅をするのに電車やバスを利用することに似ているかもしれません。効率的で確実な移動手段ですが、その分、行き先は限られていますし、冒険もできません。そこで、情報検索プログラミングで、自分の足でいろいろなところに出かけ、意外なものと出会う楽しさを味わっていただければと思います。

まえがき

 

Pythonではじめる 情報検索プログラミング

  • 作者:佐藤 進也
  • 発売日: 2020/12/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

情報検索プログラミングという技術が、未確定診断にたどり着くような大海の中のヒット情報を掘り当てることができる道具となるのではないかとの期待を勝手に膨らませながらほくそ笑んでいる自分がいる。これは失礼しました。まともな努力もなしに結果を得ようとするなんて。そうではなく、このまま学び続けても、時代とともに加速する医の知識の膨張速度に追いつけない現実に直面して、半ば絶望しかけている、ある医師の着想であることをご理解いただきたい。

 

Pythonを学んでいこうと改めて思う。

世の中の才能豊かな別分野の方々の言葉を多少理解できるようになるかもしれない。

自分がやりたいことのために。

 

54歳のコロナ渦の正月をすこし過ぎて